山口醫院ではイムフラドックというものを行なっています。これは採血をし体内の炎症度合い、酸化度合い(酸化ストレス)、免疫のバランスを調べる物です。
慢性炎症や過度な酸化が起きている状態は病気の前段階である未病から始まり、生活習慣病や慢性的症状の原因になると考えられています。
炎症は漢字の通り炎です。体内で炎が燃えているというと良い感じがするでしょうが、この炎はぶつけて腫れたり、虫に刺されて腫れた類の炎です。慢性炎症はわかりやすい所では腰痛や膝や肩の痛みにも関わります。これはその痛い場所だけの問題では無く全身の問題が背景にあります。近年、弱い持続的な炎症が体内で起こると癌や糖尿病、動脈硬化、認知症、リウマチやアレルギーの原因になると言われています。
酸化ストレスは体内で活性酸素を十分に除去できないと起こります。体内の抗酸化物質が除去できる量よりも多い酸化が起きるとDNAや脂質やタンパク質、糖が酸化を起こします。酸化ストレスが原因の一つと考えられている病気にはガン、動脈硬化、アルツハイマー病、パーキンソン病、慢性呼吸器疾患、リウマチ、腎臓病等があります。
免疫細胞のバランスが崩れても病気の原因になります。免疫細胞の役割は体内の老廃物を除去する事と入って来た異物を破壊する事です。免疫細胞の働きが弱いと細菌やウィルスに感染したり、ガンになったりします。強すぎるとアレルギーやリウマチといった、本来攻撃しなくても良い物を攻撃するといった事になります。
実はこの3つは相互に関わり合っています。酸化は炎症の原因になりますし炎症も酸化の原因になります。免疫バランスの崩れは炎症をおこします。反対に炎症が免疫バランスの崩れを引き起こします。しかし人によってこの3つのバランスが違います。
これらのバランスの乱れが背景としてあり。その結果が症状であったり病気であったりするのです。
加えて動脈硬化が起こりやすいかも調べます。脳梗塞や心筋梗塞が動脈硬化に関わると言われますが、腎臓で動脈硬化が起こると腎機能低下を起こします。現在日本人の死亡原因で一番多いのはガンですが、その次は動脈硬化が原因の病気です。
現在問題になっているCOVID-19も体内で動脈硬化や慢性炎症があったり、脂肪酸の割合が悪かったり、免疫細胞の働きのバランスが悪いと重症化しやすくなります。
今回イムフラドックにCOVID-19の重症化しやすさに関する論文のあるビタミンD、脂肪酸分析とホモシステインを加える事にしました。
ホモシステインと脂肪酸分析は動脈硬化や慢性炎症、解毒機能にも関わる検査です。
これを調べ体内の状況を知る事で今の生活習慣をどう変えれば炎症を起こしにくくするか、いかに酸化を減らす事が出来るかどう免疫のバランスを取るを事ができるかが可能になります。
ただ怖がっているだけでは何も解決しません。病気と縁遠い身体を自分で作りましょう。
今何が必要かを知る手助けになります。
その手助けにイムフラドックがなります。
検査項目
CRP CRPは炎症反応性タンパクの略です。 体内の弱い炎症を見る指標になります。
亜鉛 亜鉛は体内の様々な酵素の補因子になります。免疫の働きと関わりが深く低下すると感染症やガンになりやすいという論文があります。
銅 銅も亜鉛同様に様々な酵素の補因子となりますが、多くなりすぎると炎症が起こりやすくなります。銅と亜鉛のバランスを見る事で弱い炎症が起きているかのマーカーとなります。また亜鉛と銅のバランスを見る事で細胞レベルで代謝がうまくいっているかの指標にもなります。
白血球数 白血球分画 白血球は免疫を担当する細胞です。一口で白血球と言われますがこの中に何種類もの分類があります。その割合を見る事で炎症が起こりやすいのか、アレルギーが起こりやすいのか。十分に免疫力があるのかを見る事ができます。
MDA-LDL マロンジアルデヒド低比重リポタンパク。これは酸化の指標になります。LDLというのは脂質を運んでいるトラックです。これが酸化しているかどうかを見ます。LDLは悪玉では無くもし悪玉という物があるとしたらMDAが悪玉です。体内の酸化の指標になるのと動脈硬化の指標になります。
コレステロール比 総コレステロールとLDL/HDLの比で計算されます。この数値が高いか低いかでDrReviciは炎症が起こりやすいのか、動脈硬化が起こりやすいのか、癌の転移が起こりやすいのかを判定しました。この数値とミネラルのバランスを見る事でどのレベルで異常がおこっているのか推測ができます。
ビタミンD ビタミンDには大きく分けて2種類あります。その2種類のバランスにより免疫の状態が良いか、動脈硬化を起こしやすいかどうかが決まってきます。ビタミンD濃度が低い人は免疫細胞の働きが悪くなり、感染症を起こしやすく、ガンになりやすくなります。
ホモシステイン ホモシステインはアミノ酸の一つです。体内でメチオニンという必須アミノ酸からシステインというアミノ酸を作る過程の物です。この過程が上手くいかなくなると体内にホモシステインが増えます。これは体内で解毒が上手くいっていない時の指標にもなります。システインは美容等で注目されているアミノ酸ですが。コラーゲンがうまく作られなくため動脈効果の原因になる。ホモシステイン自体が酸化して酸化ストレスになる。その様な仕組みでホモシステインが高い事が問題になります。
リン リンはミネラルの一つですが、このリンとカルシウムのバランスを見る事で動脈硬化を起こしやすいか、体内が酸性に傾きやすいのかを見る事が出来ます。
フェリチン これは通常鉄の指標になりますが、酸化や炎症とも関連があります。
尿酸 高いと痛風になりやすくなる物質です。実はこれが抗酸化能があります。
脂肪酸分析 脂肪酸には多くの種類があります。オメガ3とかオメガ6というのも種類の一つです。血清の脂肪酸分画を調べる事でその人の体内にどの様な脂肪酸がおおいのかがわかります。その結果炎症が起きやすいのか起きにくいのか、動脈硬化を起こしやすいのか、食事中のオメガ3と6の比率がどうかがわかります。
その他肝機能や腎機能の検査もします。これらも組み合わせる事で栄養状態等を診る事ができます。
追加検査
sIL-2R 免疫状態を反映する検査です。免疫細胞が作るサイトカインというタンパクの一種です。癌の方では低く又は高くなっています。治療を行う時に効果が出ているかの指標になります。
βーDグルカン βーDグルカンは真菌が作る物質です。この物質が血液から出るという事は血液中に真菌がいるか、腸から入り込んでしまっているかです。当院では他の方法で真菌が体調に影響を及ぼしているかの検証をしますが、採血でもできます。
エンドトキシン グラム陰性菌が作る物質です。腸内細菌が作りますが、これが血中にあるという事は腸の粘膜が弱っている。つまりLeeky gutsを起こしているという事です。