なぜ生食や温度を上げない調理が良いというのでしょうか?生の方が消化に良いと言います。また生の物にはエネルギーがあるからだとも言われます。
確かに加熱をすると固くなり消化し難くなる物もありますが、少し煮ると柔らかくなる物もあります。生米は食べられませんが、炊くと食べられる様になります。
生の物には酵素が含まれておりこれが自己消化をすると言われます。特に大根おろしやパイナップルといった消化酵素を多く含む食物は他の食物の消化を助けてくれます。しかしこの作用の多くは加熱で失われてしまいます。
人が食料を摂取するとき、何の為に食べているのでしょうか?自分のため?人の腸内には人の細胞数以上の数千種、百兆と言われる細菌が棲んでいます。これらは人が食べた物を栄養源とし、様々な副産物を人に供給しています。人が食べるというのは自分の為ではなく細菌の為にも食べているのです。腸内細菌がもっとも多くいるのは大腸です。大腸の細菌の栄養素は人が分解できない食物繊維か、吸収しきれなかった物です。人が食べれば全て消化し吸収するなど能天気な考えを持っている人は少ないとは思いますが、人間の消化能力には限界があります。消化吸収できない分は大腸に流れてきます。食物繊維は人が分解することはできません。しかし腸内細菌は分解する事ができるのです。食物繊維は植物の細胞壁です。植物の細胞は細胞壁に囲まれています。細胞壁が壊れない場合、その細胞の成分は腸内細菌によて利用されます。
つまり生の野菜は細胞壁が崩れていないので人が吸収する割合は少なくなり、これが腸内細菌の栄養になります。加熱をした野菜は柔らかくなります、焦がしてしまうと固くなりますが。これは細胞壁が壊れているので細胞の成分の多くが人に吸収されます。腸内細菌を健康にするには食物繊維だけでは無く植物の細胞の栄養素も必要になるので、生の野菜を食べる必要があります。
加熱をするとたんぱく質は変性といい性質を変えてしまいます。肉や魚を加熱すると色が変わり硬くなります。これを変性と言います。たんぱく質は栄養素として働くだけではありません。生物の体内ではたんぱく質は機能を持ち身体を維持するために働いています。この機能は生物が命を失うと無くなります。加熱をするとたんぱく質の形も変わります。
生物を加熱すると変わります。卵でも魚でも野菜でも焦げたり、色が変わったりします。この時にその物を構成する分子も変わってしまうのです。酸化もしますし、熱による変性もおこします。特にアミノ酸が加熱で変性すると形が変わり人の利用し難いアミノ酸に変わってしまうのです。これは一部人の腸で吸収され、老化の原因になると言われています。
また加熱によりAGEsという最終糖化産物が作られます。これも老化や炎症、癌にまで関わると言われています。
この様に加熱により食べ物が生の時とは違った物になり、これが身体にとって好ましくない物である事が多いのです。
特に高温で調理すればするほどこれらは増えます。直火、油で揚げる、炒めるに比べると大気圧下で煮る、茹でるは影響が少なく、特に水で茹でるとAGEsの出来る量が大きく減ります。蒸すなどは加熱の中で一番影響が少ないと言われます。
生食が良いと言う理由はまだわからない部分もあります。しかし多くの動物実験や人での報告でも生食を増やすと寿命が延びるや健康になると言った結果が出ています。
完全な生食を続ける事が良いかには疑問が残りますが、生食を増やす事は良い結果を産みます。
生物が体を冷やすと言われるのもまた真実です。冷えやすい人は生物と一緒に体を暖める物でお味噌汁や、スープを作って飲む事をお勧めします。