ムクナ豆という豆があります。日本では八升豆と言われていました。
この豆はパーキンソン病に良いと言われ使われて来ました。この豆の効果や効能について書きます。
インドのヒマラヤ山麓東側から中国南部の熱帯が原産の蔓性豆科の植物です。あまり聞いた事の無い名前ですが、江戸時代までは日本でも作られていました。八升豆という名前の由来は一つの株で八升と言われる程、豆が沢山取れるからです。熱帯が原産の植物なので西日本で作られていました。
この植物の特徴の一つがL-dopaという成分を含んでいる事で、これが様々な効果を現します。
一つが雑草の発育を抑えたり、虫を寄せ付けなくする事です。また豆科の植物なので窒素固定作用があり、緑肥としての効果もあります。
こんな事は多くの人に取っては何も関連が無い事かもしれません。
インドのアーユルヴェーダーという伝統医学で古来より使われてきました。パーキンソン病様の症状や関節炎、喘息、性機能の改善、疲労回復等に使われて来ました。
ムクナ豆というとL-dopaという印象が強いのですがその他にも様々な成分が含まれており幅広い病気に使う事ができます。
L-dopaというのはドーパミンという脳内の伝達物質の前駆物質です。ドーパミンが脳の細胞で作られる量が減ると体の動きが悪くなったり、やる気が減ると言われています。パーキンソン病もドーパミンが減る事が原因と言われています。
パーキンソン病では合成したL-dopaというドーパミンの前駆物質を主に治療として使います。ドーパミン自体を薬にしても脳の中には入る事ができません。よってL-dopaを摂取して神経の中でドーパミンに変わる事でドーパミン不足を補おうとしているのです。ムクナ豆には天然のL-dopaが含まれています。
合成されたL-dopaの問題点は神経の中でドーパミンができると活性酸素ができる事です。そうすると神経細胞が壊されていきます。つまり治療を続けると神経が減ってしまうので益々パーキンソン病の症状が悪くなっていきます。
合成の物と違いムクナ豆には抗酸化物質が含まれています。L-dopaと抗酸化物質がセットになっている事で神経細胞が減るのを防ぐ事ができます。
またただドーパミンを増やすだけでなくアセチルコリンの作用を増やす役割もあります。アセチルコリンは多くの神経で伝達物質として使われています。この働きが落ちると脳の働きが落ちてしまいます。
ムクナ豆を摂取する事で認知機能が向上するというマウスを使った研究もあり、うつ病にも効果があるとされています。
合成されたL-dopaは薬なので気軽に使う事が出来ませんが、ムクナ豆は食品ですから病気で無くても使う事ができます。何か少し元気がないとかやる気が出ないといった事にも効果が期待できます。
ムクナ豆のその他の効果ですが、抗糖尿病作用、抗酸化作用、抗腫瘍作用、降圧作用、抗菌作用、抗蛇毒作用が報告されています。
ムクナ豆を摂取する上で気を付ける事ですが、L-dopaの接種が多くなると吐き気や下痢を起こす事があります。人によって起こす量が異なるので、少量から始め徐々に増やすのが良いでしょう。また生の豆は固く、タンパク分解酵素阻害作用のある物質を含んでおり消化不良の原因になるので生で摂らない様にしましょう。
山口醫院では白ムクナ豆よりL-dopaの含有量の多いミャンマー産の黒ムクナ豆をパーキンソン病の方だけでなく、認知症が心配、やる気が出ないや元気が無いという人に勧めています。